ネットで悪口を書かれた。これって“よくあること”で済ませるべき?
こんにちは、弁護士の久松亮一です!
今回は、近年急増しているインターネット上でのトラブルにつてコラムにまとまてみましたので、最後まで読んでみてください。
インターネットの掲示板やSNS、口コミサイトなどで、自分や自分のお店、勤め先について事実と違うことを書かれたり、ひどい言葉を投げつけられたりする。今の時代、誰にでも起こりうることです。まわりに話しても、ネットなんだから気にしないのが一番だよ、いちいち相手にするだけ損だよ、と言われることも多いかもしれません。たしかに気持ちの整理としてはそういう面もありますが、法律の観点から見ると、ネット上の書き込みは処罰の対象になりうる領域です。今回は、その基本的な考え方をゆるく整理してみます。
悪口にも種類がある
ひとくちに悪口といっても、法律の世界ではいくつかの種類に分けて考えます。まず、ある人について具体的な事実を示したうえで、その人の社会的な評価を下げるような内容を広めた場合、名誉毀損にあたることがあります。ここでいう事実とは、内容が本当かどうかという意味ではなく、あの人は過去にこういうことをした、といった具体的な出来事を指し示しているかどうか、という意味です。
一方で、具体的な事実を示すわけではなく、ただ人格を否定するような強い言葉を投げつける場合は、侮辱にあたることがあります。バカだ、消えろ、といった、事実というより感情的な罵りがこれに近いものです。名誉毀損と侮辱は、どちらも人の名誉を傷つける行為として、法律上問題になりうるものです。
なお、名誉毀損については、書かれた内容が公共の利益に関わることで、目的も正当で、かつ内容が真実だと認められるような場合には、責任を問われないという仕組みもあります。すべての批判的な書き込みがただちに違法になるわけではない、という点は公平に知っておくとよいところです。
匿名でも誰が書いたかは追えることがある
ネットの書き込みは匿名でされることが多く、どこの誰が書いたのか分からないから、対応のしようがないと感じる方は少なくありません。けれども、匿名だからといって完全に身元をたどれないわけではありません。
投稿した人を特定するためには、発信者情報の開示という手続があります。これは、サイトの運営者や通信事業者に対して、投稿に使われた接続の記録などをたどってもらい、最終的に投稿者にたどりつくための仕組みです。かつては複数の手続を段階的に踏む必要があり、時間も手間もかかるものでしたが、2022年に法律が改正され、より一つの手続の中で進めやすい制度が新しく設けられました。これによって、以前に比べれば投稿者の特定に取り組みやすい環境が整いつつあります。
侮辱に対する扱いも変わった
書き込みへの社会的な受け止め方が変わってきたことを示す動きもあります。侮辱については、2022年に法律が改正され、罰則の内容が引き上げられました。ネット上での心ない言葉が人を深く傷つけ、ときに取り返しのつかない事態につながることもある、という問題意識が背景にあるとされています。こうした流れからも、ネットの悪口は放っておくしかないもの、という感覚は少しずつ実情と合わなくなってきているといえます。
済ませるかどうかを決めるのは自分でいい
もちろん、書かれた内容がどの程度のものか、どこまで対応するかは、人によって考え方が違って当然です。読み流して忘れてしまうのも一つの選択ですし、そうすることで心が軽くなるならそれも大切なことです。ただ、覚えておいてほしいのは、それが“よくあること”だから泣き寝入りするしかない、という状態とは違う、ということです。
対応を考えるうえで一つ現実的なポイントを挙げるとすれば、記録を残しておくことです。書き込みの画面そのものや、そのページのアドレス、書かれた日時などを、消される前に保存しておくと、後から状況を確かめるときに役立ちます。ネット上の投稿は本人の判断で消えてしまうこともあるためです。
ネットで書かれたことを済ませるべきかどうか。その答えは一つではありませんが、少なくとも、これは我慢するしかない類いの話なのか、それとも対応する選択肢がある話なのかを知ったうえで決められると、気持ちの持ちようも変わってくるはずです。まずは、悪口には向き合う手立てがちゃんと用意されている、という事実を知っておくだけでも意味があると思います。



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